数学を小並例で解説するブログ

わかりづらい大学数学などの概念を、小学生並みの例でわかりやすく説明していこうと思います。

解析学 収束する数列は有界

問題

収束する数列は有界であることを示せ。

方針

数列が収束するということに関しては、しっかりと分かっているということを前提に書いていこうと思います。

さて、数列 \{ a_n \}有界であるということの定義を確認しましょう。

定義: ある R \in \mathbb{R}が存在して、任意の n \in \mathbb{N}に対して |a_n| \leq R  
となるとき、数列 \\{ a_n \\} 有界であるという。

つまり、具体的にある実数Rを用意して、それがどんな a_nよりも大きくなっていることを示せばいいわけです。

ここで収束することから、任意の \varepsilon > 0に対して、ある N \in \mathbb{N}が存在して n \geq N ならば  |a_n - \alpha| \lt \varepsilon となっています。

このようなNより大きいnに対しては

 |a_n| - |\alpha| \leq |a_n - \alpha| \lt \varepsilon

より、

 |a_n| \lt |\alpha| + \varepsilon   \ \ (=(定数))

がわかります。

Nより小さいnに関しては有限個の数列なので a_1, \cdots ,a_N で一番大きいものを取ってこればいいわけです。

解答

収束する数列 \{ a_n\} に対して、 方針で登場した N,\varepsilonを考える。

 R \in \mathbb{R} として R={\rm max} \{ |a_1|,|a_2|, \cdots |a_N|, |\alpha|+\varepsilon \}を用意すると、任意の n \in \mathbb{N}に対して

 |a_n| \leq R

となっていることから示せた。

「像(Image) 」よくわからないやつらPart 1

今回とりあつかうのは像(image)です。最初に出てくるのは、線形代数で線形写像について習うときだと思います。

像とは?

まずは定義の紹介です。

定義(像) 写像 f:V \rightarrow Wにたいして Wの部分集合 \{ f(v) \in W | v \in V \}  fと呼び {\rm Im}(f)で表す。

よく見るイメージ図です。 f:id:bossdb66:20180529012625p:plain

この図、写像を扱うときよく出てくる図です。でもこれ、正直わかりにくい...。

まず、 fは集合 Vから集合 Wへの写像、つまり対応づけを定めています。このとき Vの元に対してはすべて何かしらの Wの元が対応付けられています。

いいかえると、すべての v \in Vに対して f(v)=w \in Wがあります。(当たり前じゃん、て思う方は大丈夫です。)これは写像の定義ですね。

ですが、 w \in Wに対して、対応づけられているような v \in V必ず存在するとは限りません。つまり、 w=f(v)をみたす v \in Vが存在しないような w \in Wが上の図の {\rm Im}(f)の外側の白い部分に入っているわけです。

....

え、わかりにくい?

それでは、例を取って紹介します。集合VとしてA,B,C,D,Eという5人の人間を集めたものを考えます。 V=\{A,B,C,D,E \}

この5人につぎの食べ物集合Wから好きな食べ物を一つ選んでもらいます。 W=\{  ハンバーグ,エビフライ, パスタ, 寿司, ピザ\}

こういう状況です。

f:id:bossdb66:20180531154242p:plain

この対応を写像 fと名付けましょう。人(A,B,C,D,E)から好きな食べ物を対応させる写像です。すると、このとき誰にも選ばれていない食べ物があります。これが最初の図で示すところの「白」の部分にあたります。

そして、選ばれた食べ物{エビフライ、寿司、ピザ}がfの像にあたります。つまり

 {\rm Im}(f)=\{ エビフライ,寿司,ピザ \}

となります。

はい、

小学生並みの例でしたが、これで、イメージ(像)の定義の意味は分かっていただけたのではないでしょうか。最初はとっつきにくい概念ですが、意外にわかってくるものです。

次の記事では、もう少し数学的な例も紹介していきたいと思います。それでは。